
花粉の気になる季節になってしまったとある午後。
編集部に一本の電話がかかってきた。
記者「はい、編集部です」
電話の相手「どうも御無沙汰してます」
それはどこかで聞き覚えのある男性の声だった。

記者「久しぶりですね、お元気ですか?」
男性「ええ、まあ。そんなことより聞いてくださいよ。夜も怖くて眠れないんです。」
記者「どうしました?」
男性「最近、ちまたでは鬼とか呪霊とかが流行っているようですけどね。鬼や呪霊よりももっとリアルに出現する可能性の高そうなものといえば、そう、ゾンビですよね!?」
記者「ええと・・・、そうですかね(また、変なこと言い始めたな)」
男性「鬼、呪霊、ゾンビ。三つ並べてみてください。どれが最も現実的なものかは一目瞭然でしょう!」
記者「・・・・・・・・。」
男性「とにかく怖くて夜も眠れなくって」
記者「・・・・・・はい。」
男性「だから、もしキャンプ場にゾンビが現れた場合にどのように我々は対処すべきかを一緒に考えてくださいよ!」
まずはゾンビを知る
ゾンビとは、何らかの力で死体のまま蘇った人間の総称である(wikipediaより。以下も要約)

ゾンビの起源については、
元はコンゴで信仰されている神「ンザンビ(Nzambi)」に由来し、ブードゥーの司祭の施術により死体の名前を呼び続けると起き上がる・・・、ゾンビパウダー(毒素)により仮死状態(にある脳)をつくり自発的意思のない人間=ゾンビを作りだす
とかありますが、どちらかというと今は、
アメリカ映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』で「噛んだ相手もゾンビになる」という吸血鬼の特徴が混ぜ込まれ、呪術や魔法的な手法ではなく、科学実験や特殊なウイルス感染、あるいは寄生虫によりゾンビ化してパンデミックという形で被害が拡大する
といったほうがイメージに近いですね。
男性「なるほどね。でも、wikipediaを読んだだけじゃないですか。」
記者「・・・・・・・・・。」
ゾンビの出現する要因
記者「映画などではゾンビが出現する要因は、軍事目的の兵器として生まれたものだったり未知のウイルスが原因だったりしますね。」
男性「ええ。コロナウイルスというまさに未知のウイルスと戦っている人類だから、キャンプ中にゾンビに襲われる可能性だってこの先ないとは言えないでしょう!?」
記者「・・・・・・・はい、そうですかね」
男性「絶対そうですよ!何をきっかけにキャンプ場にゾンビが出現するかはよくわかりませんが、たとえばキャンパーを襲う要因として
・直火で焚き火をしていたら、怒って地面から出てきた
・遅い時間に薪割をしていたら、怒って注意しに出てきた
・大音量の音楽をかけたり消灯時間を過ぎてキャッキャキャッキャ言っていたら、怒ってボリュームを下げに来た
とか、色々考えられるじゃないですか!!」

ゾンビに備える
記者「ゾンビ対策を考えるなら、それなりの道具を選ぶ必要が出てきますね。オシャレさやデザインなどは無視した生き残るための道具選びです。」
男性「オシャレを捨てろっていうんですか!私からオシャレを取ったら何が残るっていうんですか!!」
記者「当然、武器になる道具も準備しておかなくてはいけませんね。」
テント選びのポイント
①設営のしやすさ
ゾンビから逃れるために設営場所を転々とする場合があります。このため、設営・撤収が素早く行えるものがベストです。
ポップアップテントや自立式のテントが好ましく、ペグ打ちの多いテントや見た目重視のオシャレキャンプはこの際あきらめましょう。
②人数
小さなお子様がいる場合は2人、3人で寝ることも仕方ありませんが、基本的は1つのテントに1人ずつ。
1つのテントにみんなが寝ていると襲われた時点で全員アウトです。全員ゾンビ化決定です。
記者「おすすめするなら、DODのワンタッチテントやケシュアのポップアップテントあたりでしょうか。」
男性「ハハハハハ。ずいぶんと真面目に考えてるんですね。」
記者「言い出したのは誰ですか」
③車中泊
テントは襲われたら簡単に破れたり壊れたりしますが、その点車中泊であればすぐに壊れる心配はありません。
ただ、一旦車のまわりを取り囲まれてフロントガラスやドアガラス越しにおそろしい顔でユッサユッサ車体を揺らされるとめちゃくちゃ怖いし、下手すると何日間もその状態が続くので耐えきれる体力と精神的なタフさが求められます。

男性「こんなに邪魔してくるなんてモラルのカケラもないヤツラだな。とてものんびできそうにない。騒音どころの話じゃないぞ」

武器選びのポイント
ゾンビを倒すためには頭部を破壊すること、というのがどのゾンビ映画でも共通となっています。
必ず覚えておいてください。
頭部を破壊しない限り、腕が取れようが足が取れようがおかまいなしで動き回ります。
その点を踏まえてどの武器を持っておくべきかを考えてみましょう。
①ナイフ
必ずフルタング(ブレードがハンドルの根元部分まであるタイプ)のものを選んでください。
ハンドル部分まで鋼材が入っていないと、折れやすくなってしまいます。
モーラーナイフであればガ-バーグがおすすめです。
肥後守のような折り畳みタイプはやめましょう。
②ハンマーとペグ
ハンマーで叩くというのもいいですが、ペグを打ち込んでやるとさらに攻撃力がアップします。
刺さりさえすればよいので重い鋳造ペグである必要はありませんが、プラペグだけはやめておきましょう。
プラハンマーとプラペグの組み合わせなんてもってのほかです。
③斧
大人の男性や力のある女性であれば斧を選択するのもありです。
斧といってもいわゆる大型のアックスではなく、ハチェットと呼ばれる手斧にしておきましょう。
ナイフよりやや重さがあり扱いが難しいため、薪割の際に常にゾンビを意識して振り下ろす練習をしておいてください。
④スコップ
キャンプ用のスコップといえば折り畳みのものがコンパクトですが、曲がりやすいのでできれば工事用のスコップを準備しましょう。
⑤銃やボーガン
映画やドラマでは銃をバンバン撃って倒していきますが、日本では銃の入手は通常あり得ないので武器の対象からは除外します。
ボーガンも2020年12月に銃刀法の規制の対象となっており、所持するためには許可を受ける必要があります。
①のナイフも刃渡り6㎝を超える場合、正当な理由なしに携帯していると逮捕される可能性があります。当然日本刀も同じです。
取り調べを受けた場合は「ゾンビ対策」であることを明確にしましょう。

男性「でも、もし噛まれちゃったらどうすんの?」
記者「あきらめてください。」
男性「いやいや、ポイズンリムーバーを使えば大丈夫でしょう?!」
記者「本気で言ってます??」
キャンプ場選び
さて、準備が出来たらキャンプ場を予約しますが安全なのはどこでしょうか。
無料キャンプ場
比較的モラルが低くなりがちですので、騒音などでゾンビが集まりやすいです。
また、清掃が行き届いていない場合もあるので倒されたゾンビがそのまま放置されがちです。
高規格キャンプ場
基本的には管理が行き届いていて快適に過ごせます。
お金を払えば倒したゾンビを回収してもらえるところもあります。
ゾンビ持ち帰りだと荷物が増えてしまうので置いて帰れるのはうれしいポイントですね。
林間キャンプ
木の陰からいきなり襲ってくるのでベテランキャンパー向きです。
かといってベテランであってもハンモックで寝る、というのは避けたほうが良いでしょう。いざというとき身動きがとれませんからね。
海辺や川沿いのキャンプ
夏は海水浴や川遊びが楽しめますが、決して安心しないでください。
水中にもゾンビはいます。
草原キャンプ
見晴らしがいいのでゾンビを見つけやすく、解放感もあるので個人的には一番おすすめです。
男性「アレクサンドリアはどうですか?」
記者「(一応答えるか・・・・。)街全体が高い壁に囲まれていますので最も安全ですが、自然を満喫したい方にはおすすめできません。」

(分からない方はAmazonプライムビデオでウォーキングデッドを見てください)
設営時のゾンビ対策
記者「テントを立ててのんびりする前にやることがあります。」
男性「え?」
記者「もうお忘れですか? まわりにはゾンビがいるんですよ。
しっかりと対策をしておかないとのんびりするどころか慌てることになりますよ。」
男性「ゾンビ??」
テントの周囲に穴を掘る。
雨天時にテントの周囲に溝を掘って浸水を防ぐという方法がありますが、ゾンビ対策として深めの穴を掘る、というのも大切です。

一旦落ちたらゾンビが登ってこれないように深さ3メートルぐらいは掘りたいところです。
小さなお子様は落ちないようにご注意ください。
穴を掘る際の注意点として、トイレへの導線は必ず確保するようにしましょう。
間に合わずにパンツを汚す羽目になります。
男性「じゃあ、始めからトイレで寝ればいいじゃない」
記者「お好きにどうぞ」
見張りを立てる
もしも穴を掘れるようなキャンプ場でなければ、交代で夜通し見張りを立てる必要があります。
グループであれば誰かと交代すればいいですが、ファミリーキャンプであればお父さんは一睡もできないでしょうね。
記者「色々と話してみましたが、これくらいでいいですか?」
男性「ええと、なんの話をしていたんでしたっけ?」
記者「・・・・・・・・・。」
男性「とにかく、最近嫁さんがキャンプに行くのを結構許してくれるようになって、なんだか怖くて夜も眠れないんです!もし怒った嫁さんが現れた場合にどのように私は対処すべきかを一緒に考えてくださいよ!どうせ、書くことがないんでしょ?」
記者「・・・(一言多いな)。 それでは、奥さんの不機嫌の原因から・・・・・」
おまけ
ゾンビの出るキャンプ場の注意書き
・チェックイン 14時 チェックアウト 翌11時
・ゾンビに囲まれた場合は、早めにレイトチェックアウトの手続きをしてください。
但し、次の予約が入っている場合は延長を受け付けられませんのでなんとかして速やかに退出してください。
・直火は禁止です。焚き火台等を利用してください。
・ゾンビが集まるので日没後の焚き火は避けてください。
・同様に花火は禁止いたします。
・掘った穴は必ず埋め戻してください。
・ゴミは各自でお持ち帰りください。
・生ゴミ(ゾンビ含む)は放置しないでください。クマが出ます。
・灰になったゾンビは炭捨て場の横に集めてください。のちほど管理人が回収いたします。
・武器のレンタルが必要な方は受付でお申し込みください。数に限りがありますのでお早めにお願いいたします。
・ゾンビで密になっている場合は、予告なくキャンプ場を閉鎖することがあります。
・そのほか何かあったら大きめの声で叫んでください。遠くから様子を見ます。
おわり。
※ この記事はフィクションです。参考にしないでください。
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