
金曜日の仕事終わりからのキャンプ。
今回は神乃倉山公園へ。
着いたのは19時ですでに辺りは真っ暗。
どんな所かも分からない初めての場所でもあり、離合も難しそうなクネクネした暗く細い山道を登るにつれなんだか寂しくなってきた。
何となく事前に調べたところによると藤棚のある広場らしき場所にテントが張れそうだということ以外まったく情報がなく、車を走らせながら一人ぐらいは他のキャンパーさんがいないかなと期待したが、誰もいない暗闇の公園内は少々不気味であった。
目的の場所らしき「藤ヶ丘広場」に着くと、数頭のシカが出迎えた。
なんとも野性味に溢れるお出迎えだ…。
初めての場所はどこに何があるのか分からないので、暗くなってから来るのは間違いだなと思いつつテントを広げた。
キャンプには、来てよかったキャンプとそうでもないキャンプがある。
この時の感情は、残念ながら誰もいない暗闇の公園の雰囲気と寂しさに来なくてもよかった気がしていた。キャンプのワクワクした気持ちはまったくと言っていいほどなかった。
ホントにまーーーったくなかった。
だから、こうなった。

テント、ハンマー、LEDランタン、ラーメン、缶チューハイ、唐揚げ、おむすび、ペットボトル。
気付けばこれらが無造作に置かれていた。
別に着飾ったキラキラしたキャンプをしたいわけじゃないが、ワクワク感一切なしの投げやりキャンプを如実に表していた。
とりあえず座ろうと思ったがチェアを持ってくるのを忘れており、近くのブロックに腰を下ろしてとりあえずお湯を沸かした。
暗くなってから到着するので、もともと調理する気がなかったとはいえ、なんだか侘しい食事がさらに気分を下げていく。

冷えた3割引きの唐揚げを食べていると、得体の知れない足の長いクモが忍び寄ってきたので、息をブー!っと吹きかけて追い払ったり、林の方からガサガサ音とケモノが歩く音がしたら、「シッシッ!」と追い払ったりして過ごした。
(※訂正 クモではなくザトウムシというそうです。)

そして、炙り焼きたらこのおにぎりを頬張りながら思った。
こ、これは。
薄々感じていたものの言葉にはしたくなかったが、自分のキャンプ史上最もツマラナイキャンプなのではないか!
しかし、今回の一番の目的はキャンプではなく早朝に雲海の写真を撮ることにあった。
だから、食事も適当なものでいいし朝までテントで寝れさえすればいい。
とはいえキャンプを目的としないキャンプってこんなにツマラナイのか・・・、早く朝が来て欲しい。
そう考えてあさりだしラーメンの最後の一本をすすり寝袋を敷いた。
真っ暗な山頂の人気のない公園。
広場から少し離れた場所にコンクリート作りの古いトイレがあり、なおかつ底の見えない和式ボットンなので夜中には絶対大きいのは行きたくない。

大きいのがしたくなったらゲームオーバーだ。
あまり起きていて便意を催してもよくないと思い、持って来ていたお菓子も食べるのを控え、さっさと寝ることにした。
夜中の金縛り
夜中、テント越しに外から何かに背中をグッと強く押された。
びっくりして起き上がろうにも体が動かない。声も出ない。
完全に金縛りにあっていた。
疲れていると金縛りにあう体質なので、「あ、金縛り来たな」と理解するのだが慣れるようなものでもない。
背中を何かに押され続け
「ひええええええええ!」
と声にならない声を出し力を入れると何とか金縛りが解けた。当然金縛りなので背中を押していた何かなどいない。

安心したところでもう一眠りしようとすると、少し離れた場所で車のドアをバタンと閉める音がした。
はて、誰もいないはずだが…、気持ち悪いな。
空耳かなと思って寝ようとしたが眠れなくなった。
そしてまた数十分後に車のドアがバタンと閉まる音がしてエンジンがかかり砂利道を走る音が聞こえた。
時計を見ると朝の4時になっていた。
そろそろ起きて目的の写真を撮る時間だったので、4時半にはテントの撤収を完了して近くのパラグライダー場へ向かった。
おそらくさっきの車も同じ目的で来ているのだろうと思ったがやはり公園内には鹿が数頭いるだけで誰もいなかった。
雲海
そして肝心の雲海はというと、しっかりと目の前に広がっていた。
向かいには雲海スポットで人気のある荒谷山が見えていた。

雲海は広範囲に遠くまで広がっていた。

これが雲海というモノか~!と感動しながら夜明けまで1時間ほど写真を撮っていたけど誰も来ない。

コーヒーを飲みながら雲海を独り占め。
キャンプ自体は寝るだけのキャンプだったし金縛りにもあったが、夜が明けるにつれてやっぱり来てよかったなと思えた。

七時過ぎには3組ほど雲海を見に来る人が来た。
ここの管理人さんも現れたので話を聞くと、ここまで立派な雲海を見れるのはかなりラッキーだと言われた。
管理人さんは雲海の出来上がり具合?を調べるため夜中に様子を見に来たらしく、テントで聞こえた車のドアを閉める音の正体は管理人さんであった。

雲海がひいて眼下の街並みが見えるのを待っていたが9時近くになっても雲海はなくなる様子がない。
山頂付近に移動してもあたりは雲海で覆われていた。
夜中は暗くて寂しい公園の中で、あれほど気分の上がらないキャンプはないと思ったが、明るくなると景色もよく気持ちのいい場所であることが分かった。

結局帰宅時間になっても分厚すぎる雲海は晴れず公園をあとにした。
そして、下山中の景色。当たり前だけど雲海の中は真っ白だった。

神乃倉山公園は意外にもキャンプが出来ることが知られておらず、今時のキャンプブームに取り残されている感はあるが、帰宅前に公園内を回るとなかなか雰囲気もあるキャンプ場なので違う季節にまた来てみようかなと思う。

コメント
足の長いのはクモじゃなくザトウムシです。かわいいね
ななし~ さん
ありがとうございます。クモではないんですね。
もしコドモが「クモ~!」って言ったら、「ザトウムシだよ」とドヤ顔で教えてあげようと思います。勉強になりました。