
8月の天の川。
それを楽しみに仕事が終わった夕方、山間部まで車を走らせて小板まきばの里に向かった。
空は曇りだが時々青空も見えていた。すっきりと晴れた空よりも多少雲があったほうが面白い星空の写真が撮れるだろう、と前向きな気持ちでいた。
それなのにあと5分ほどでキャンプ場に着こうかと言うところでフロントガラスに雨が落ち始めた。
星を見る人になりたい
到着するとしっかりと雨が降り、とりあえず雨よけのタープを張る事にした。
キャンプをするうえでタープを張るのが一番面倒臭いと感じているので、できれば張りたくないが仕方ない。
張り終えたところで雨がやんだのでタープを片付けた。何の時間だったのだろう。

無駄なタープの設営撤収ですでに8時近くになっていたので夕食は簡単にカップヌードルにした。わざわざ手の込んだ料理をする気もないし、そもそもキャンプなどで手軽に食べられるようにカップヌードルは作られているので、時短の夕食としてあながちこれは間違いではない。(手抜きの言い訳)


食後、本来なら天の川を撮るためカメラをもって空でも見上げる予定だったのに、ほとんど雲におおわれて星などほとんど見えない。
仕方なくテントの写真を撮った。

この日は他にキャンプしている人はおらず、完ソロ状態であった。
こうやって暗闇に包まれるテントを遠目に見ると、なんとも無防備な状態で自然の中に身を置いている事を実感する。
キャンプブームでカジュアルな面ばかりがクローズアップされるが、キャンプは決してキラキラしてはいない。
生きるか死ぬかなのだ。
DEAD OR ALIVE
明日の朝、無事に帰宅できる保証はどこにもない。
もしかしたら見知らぬおじさんが現れて寝ているワタシに向かってニンニク臭い口でハーハーして眠らせてくれないかも知れないし、不審者がラジオをテントのそばに置いて「松村邦弘のオールナイトニッポン」の木村卓球屋のコーナーを大音量で流し続けて眠れないかもしれないし、金髪美女が現れておもむろにトップをレスしてハーンハーンと挑発しきて眠れないかも知れないのだ。
できれば三番目がいいな、と思いながら早々にテントに入り、アマプラを見ていたらぐっすり眠れた。
爽やか過ぎる朝
早朝。
鳥のさえずりで目が覚める。
やっぱり金髪美女より黒髪美女がいいな、と思いながらテントから出るとよく晴れた空が広がっていた。
数時間前にこんな天気であれば天の川も見れたのに、と空を見上げながらコロッケパンを頬張った。


食後、遠くからモーモーという声が聞こえた気がしたが、それはどうやら犬ではなく牛のようなので牧場へ。
ここは広島では多分唯一の牛が見えるキャンプ場だ。
いや、肉牛が見えるキャンプ場だ(言い方)

いつかたっぷりのニンニクと一緒に焼いてハーハーしたいものだ。

テントに戻ってからは、清々しい朝の時間を過ごした。

夏の終わりの山の空気が涼しい。
ふと、松村邦弘のオールナイトニッポンが気になってYouTubeで再生したが、朝に聴く番組じゃないなと思って消した。

一番の目的であった星を見る人にはなれなかったが、なんとか生きて帰れる喜びを噛み締めながら帰路についた。
次はきっと晴れてくれる、そう信じた。
帰宅すると黒髪の美女(ヨメさん)が迎えてくれた。
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