
前回まさかの当日下痢発熱により中止となったソロキャンプ。
あまりの悲しさに詩をうたわざるを得なかったのだが。

ゴールデンウィークに迎えたファミリーキャンプもこれまた天気は雨予報。
キャンセルも考えたが、すでに予定日2日前でキャンセル料50%が発生する。
「雨でもキャンセル料は発生しますか」と問い合わせてみるも、警報でも出ない限りはキャンセル料が必要とのこと。
非常事態宣言地域からであればキャンセル料は取らない、とのことだったが残念ながら(?)広島県は対象地域外(※当時)なので、どうにでもキャンセル料は払わなければならないようだ。
その額5000円。
前回の当日キャンセルに続いて、キャンプに行ってもいないのにお金だけが減っていくというのはあまりにもマンモス悲ぴい。
人は言う。
雨音を聞きながらのキャンプ。これもまたよし、と。
よくよく予報を見てみると、到着時は曇り、撤収時は晴れとなっているので、設営・撤収は雨にあわずに済みそうだ。
二泊の予定なので慌てて出発する必要もなく、ダラダラと準備をしていたらいつの間にか正午をまわっていた。
一つ目の忘れ物
のんびりと出発して高速道路入り口に差し掛かったところで、突然
「ETCカードが挿入されていません」
と、優しい女性の声がどこかから聞こえてきた。
驚いて助手席を見るが、どうもヨメの声ではない。
誰だろうと思っていると再び、
「ETCレーンを走行できません」
と、さっきの女性の声がする。
驚いて助手席を見るが、やはりヨメの声ではない。
少し背筋がゾクゾクするのを感じながらも女性の言葉の意味を理解したところで、どうも誰かがETCカードを忘れていることをそっと教えてくれているようだと気付いた。

慌てて料金所の「一般」と書かれているレーンへ。
ETCカードを忘れるとはなんたる不覚。
いったい誰が「一般」レーンなんか今どき通るんだろう、と思っていたがワタクシのような人が通るために残してあるのだとわかった。
それにしてもETC料金ではなく一般料金となると痛い出費だ。
「なんで忘れるかね」というヨメの鋭い一言が刺さる。
おそるおそる、一体ETCと一般料金ではいくらぐらい料金が違うのだろうかと調べてみると、なんとまったく同額だ。
幸いにも今回のゴールデンウィーク中は割引が一切適用されず、ETCカードがあろうがなかろうが関係がなかったのだ。

えへへへへへ!どう?料金が同じなんだからこれは忘れ物とは言えないね!
とヨメの顔を見たが、その視線は遠くを見ているようだった。
二つ目の忘れ物
気持ちよく車を走らせながら、二日目の夕食はハヤシライスだな~とぼんやり考えていて、ふと気付いた。
米を忘れている・・・。
あ、スプーンもない。
もしかして、箸も忘れた気がする。
ハヤシスープも悪くないが、この事実をいつヨメに伝えようかとビクビクしながら運転を続けた。
米、こめ、コメ、スプーン、スプーン、コメ、スプーン
呪文のように頭の中で繰り返していると、車がキャンプ場まであと数キロというところで、幸いにも道の駅を発見し米をゲットできた。ついでにスプーンと箸も購入。

えへへへへへ!どう?忘れ物したけど、その土地のおいしいお米を食べられるから結果オーライだね
と助手席のヨメに無事伝えることができたが、その視線はやはり遠くを見ているようだった。
三つ目の忘れ物
そして車はキャンプ場へ到着。
今回のキャンプ場は初めて訪れる「鳥取にちなんむらモクモクキャンプ」だ。

「モクモクキャンプ場」ではなく、「場」は付かない。
どうでもいいかもしれないが、「モクモクキャンプ場でキャンプ」ではなく、「モクモクキャンプでキャンプ」というのが正しい。
キャンプ場は天気もよくないためか、閑散としている。
かなりキャンセルが出たようだ。
今日のサイトはB-5 (モクモクサイトSMALL)。
どんよりと雨雲が近づいている気配を感じながら、ひと通り設営を終えた。

一息ついていると、テントのそばに野草が生えているのを見つけ、写真でも撮ろうとカメラを構えたその時!
・・・・シャッターが切れない。
よく見ると、SDカードがない・・・。

2泊3日のキャンプなので、何百枚写真を撮るかわからないぞ!
山奥のキャンプ場で星空も撮るんだ!
と意気込んで、出発前にパソコンにSDカードを入れて不要なデータを整理したのだ。
空き容量たっぷりになったところで安心し、カメラにSDカードを戻し忘れていた。
カレーライスを食べるぞ!
と意気込んで、ルーを入れ忘れたのだ!
今日はデートだぞ!
と意気込んでオシャレしたのに鼻毛が出ていたのだ!
とにかく、つまりそういうことなのだ。
これはほんとーにイタイ。
写真を撮るのが楽しくてしょうがない今日このごろ。
こんなことならテントを忘れるほうがまだましだ。(何しに来てんだ)
予備のSDカードを発見したが・・・
時刻は午後5時になっていた。
慌てて近くの電気屋を調べると、片道40分ほど離れた新見市にヤ〇ダ電機がある。
買いに行けない距離ではない・・・。
今すぐココを飛び出せば、1時間20分後にはSDカードが入ったカメラでバンバン写真が撮れるのだ・・・。
よし!行こう!
と決心したものの、

ひとりでSDカードを買いに行っていい?
と聞いた時のヨメの鬼の形相たるや。
強引に買いに行ったところで険悪なキャンプとなる可能性は大だ。
ヨメの剣幕に少しお漏らししかかり、仕方なくあきらめた。
その後、あまりに落胆したためか、目の前のフォーカスしている物以外はモノクロに見えるという症状に陥った。

コロナビールを流し込んだところで、
「そういえば余ってるSDカードがあった気がするぞ!!」
とカメラバッグを漁って見つけたのは、125MBのSDカード。
ギガバイトではなく、メガバイトだ。
もうずいぶん昔にコンデジに使っていたSDカードだろう。当時であればこれで何百枚か撮れたはずだが・・・。
試しにカメラに入れると撮影可能枚数3枚と出た。
3枚・・・(笑)
昔のコンデジと今のミラーレス一眼では1枚あたりのデータ容量が全然違うとはいえ、3枚しか取れないとは・・・。
笑うしかないが、スマホでも写真は撮れるし、幸いにもこの日は曇り空と小雨で星空なんか見えやしないのでカメラの出番はないだろう、と震える心を落ち着かせた。
案の定、夕食のBBQを食べて風呂に入ると雨と風が強まりだした。

することもないので、早々に寝袋に入ったが風の音がうるさい。
しばらく我慢して寝ようとするも、フライシートのバタつく音が一向になりやまず眠れなかったが、耳栓をすると途端に音が軽減されたのはいうまでもない。
キャンプ場は意外と騒がしい。

色々と忘れ物をした一日だったが、耳栓を忘れなかったのが唯一のすくいだ。
二日目
朝。
相変わらず天気は悪く、早起きしたところで何もできないので9時頃までテントでゴロゴロしていた。
ふと、

どうせ雨で何もできないのだからSDカードを買いに行くというのはどうでしょうか
とヨメにお伺いを立てると、食材の買い出しのついでに行くことを許可された。
天にも昇る気持ち、と言っても言い過ぎではない。
新見市内の天国(ヤ〇ダ電機)とスーパーへ。
無事購入したSDカードにニヤつきながら、キャンプ場へUターン。
次からは
カメラを忘れても、絶対にSDカードは忘れないようにしよう
と心に誓った。
買い物をしている間は晴れ間が出ていたが、なぜかキャンプ場へ戻るころにはまた雨足が強くなった。
雨なので何もできないところだが、このキャンプ場には体育館があることを知っていたので、持参したバトミントンで遊ぶことにした。
雨ばかりだと子供が何もできず退屈するので、たまたま体育館のあるキャンプ場を予約していたのは幸いだった。
やたらと床にカメムシの死骸が転がっていたので、ひととおりホウキで掃除したがキャンプ場にしては立派な施設だ。

運動を終えて風呂に入ると、ようやく雨雲は去ってところどころに空が見え始めていた。
星空撮影
早めの夕食を食べ終えた後、新しい焚き火台で焚き火を楽しむ。

キャンプ場に来てからようやくキャンプらしい時間が訪れた気がする。

ところどころ星が見えるものの、まだ雲が厚い。
天体観測アプリで天の川を調べると、夜中の2時頃に山裾から姿を現すことが分かった。

夜中に起きることにして一旦就寝。
それにしてもカメラを購入してからというものキャンプの睡眠時間が短くなってしまった。
天気がいいと星を撮るために夜中に起きなければならない。
いや、別に起きなくてもいいのだが、せっかく星が見えるのだから写真を撮らなくてはという強迫観念にかられる。
夜中にテントから顔を出して曇ってさえいれば
「ああ、起きなくてもいいんだ」
とあきらめもつくのだが、この日は残念ながら(?)星が見えていたので起きることにした。
あれだけ、SDカードがないと落ち込んだのに撮らないわけにも行かないだろう。

まわりの迷惑にならないよう足音を殺してキャンプ場内をウロウロ。
夜中にトイレに行く人影が見えたので息を殺して身を潜めた。
何もやましいことはないのだが、カメラを持って暗闇に立っていると、きっと相手も
「こんな時間にコイツは何をしているんだろう」
と思うに違いない。
ランボーのように林間に身を潜めて敵をやり過ごす。

敵の気配が消えたところで、空の開けているグラウンドのそばへ出た。
ちゃんと月の軌跡も計算に入れていなかったため、天の川のある方角には月が煌々と輝いていて天の川のワの字も見えない。
そのうえ、風があるので次から次へと雲がやってくる。

ランボーはしばらく粘って数枚写真を撮っていたが、なぜか夜中にお腹がすいて来たところで「戦いは終わった」という大佐の呼びかけに応じて投降することにした。(空耳と思う)
(※ランボーとは・・・、って説明いらないか。)
しつこくテント側でも粘ってみたが、結局雲はなくならず、満天の星とはならなかった。

三日目
3日目の朝。
もう一泊したくなるような快晴。

ヨメのほうが早く起きていたため、

エイドリアン? ランボー、お腹すいた
とテントの中から声をかけると、
「誰?髪伸びた?何、その赤いバンダナ」
といいながら朝食を準備してくれた。
エイドリアンの作ってくれたパンに生ハムやウィンナーをぶち込んだだけの朝食を頂いた。

その後少しのんびりしたあとは、いつもどおりランボーだけが頑張って撤収するという労役を科されたが、エイドリアンとバルボア・ジュニアたちには一緒にキャンプに来ていただいているので、文句などあろうはずがない。
(※エイドリアンとは・・・、って説明いらないか。)
ほぼ雨キャンプではあったが、テントやタープも乾燥撤収となっただけマシだろう。

寄り道と帰宅
キャンプ場を跡にして、もうひとつの趣味でもある「日本百名城」めぐりのため、近くの月山冨田城へ。
難攻不落の山城だったようで、本丸へ行くにはジグザグに整備された階段を登る必要がある。

ここは城郭の残っていないお城なので城跡は開けた山頂のようになっていたが、それはそれで気持ちのいい緑の景色が広がっていた。

帰り道。
「ETCカードが挿入されていません」
また、あの女性の声がしたので驚いて助手席のヨメを見たが、コドモともども全員が疲れ切って爆睡中なのであった。

フッ、遊び疲れるほどキャンプを満喫してくれたんだな
と久しぶりのファミリーキャンプは何だかんだ充実していたな、と思いながら「一般」レーンに車をすすめた。
おわり。
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