
非常事態宣言が解除された6月のある金曜日。
1か月半ぶりのソロキャンプで向かった先は「右平花園の里キャンプ場」
我が家から40分ほどで着く、広島市北部に位置するキャンプ場だ。
広島市内といっても、キャンプ場に近づくと道はご覧のとおり離合もできないほど狭い。
予約時に「小さい車で来たほうがいい」と言われたのでジムニーで出かけて正解だ。

数センチ単位の絶妙なハンドルさばきを要求される道を越え、なんとかキャンプ場にたどり着いた。
受付は駐車場から離れた山小屋にあった。
もみの木を見て先祖に思いをはせる
山小屋そばにあるもみの木は迫力満点。
樹齢およそ500年だそうだ。

500年前からここにあるのか~、と考えると感慨深いものがあった。
500年前というと、祖父の代でも曾祖父の代でもなく、高祖父の代でもなく、高祖父の父でも高祖父の祖父の代でもないなあ。
高祖父の高祖父の祖父の代でもなく、だいたい高祖父の高祖父の曾祖父の代くらいだとわかった。
これは平均寿命を50年とした場合だから、昔はもっと寿命が短いとするならば、もしかしたら高祖父の高祖父の高祖父の祖父くらいにはなるかもしれないなあ。
と考えるとすごくスッキリした気分になった。
その後受付のおばちゃんと談笑していると、園長(社長)さんが現れてひととおり案内してもらえることになった。
曰く、
「あそこにも張っていいし、ここにも張っていい」
つまり、ここはキャンプ場といっても敷地内のテントが張れそうなスペースを探して好きな場所を選ぶフリーサイトスタイル。
オリンピックイヤーなので分かりやすく言うと レスリングのグレコローマンスタイルではなくフリースタイル、ということになる。分かりやすく言うと。
この日、他には予約は入っておらず完全に一人なので場所は選び放題なのだが、好きにしろと言われるとどうもモジモジしてしまう。
できるならば優柔不断のアクセル全開でじっくりと場所選びをしたいところだったが、雨が降る可能性があったため、なるべく早く場所を決める必要もあった。
本日の焚き火
悩んだあげく、車も近くにおける桜の木のあるサイトに場所をとった。

コケむした感じがいい雰囲気。
だが、梅雨時のためやや湿度が高い。
さっそく本日の焚き火指数をはじき出す。
すぐに汗がにじみ始めたので、焚き火はやめておこうと即決した。
「今日も焚き火をしないつもりか」
と、日本とにかく焚き火どこでもやる会(通称 NTTドコデモ)からお叱りを受けるかもしれない。
しかし、ワタシくらいのキャンパーになると、いつでもどこでもむやみやたらに焚き火はしない。
少し肌寒いから温まりたいとか、焚き火で湯を沸かしたいとか調理したいとか、火を見つめながら、なぜ我が家の中でヨメのオナラが一番クサいのかを科学的見地から解明したいとか、
つまり、NTTドコデモがなんと言おうと、それなりのシチュエーションがないとしないのだ。
焚き火をしない理由が整理できたところで、とりあえずテントを張り終えてチェアに座る。
初めてのキャンプ場は落ち着かない
周囲を眺める。
立つ。
ウロウロする。
座る。
立つ。
ウロウロする。
・・・・・・・。
なぜだろうか。
初めてのキャンプ場は毎回落ち着かない。

特に今回は広い敷地内に一人。
初めてのキャンプ場で完ソロというのが落ち着かない原因のひとつかもしれない。
スマホも圏外なので、外部との関わりも一切ない状況。
暇つぶしに読むのにちょうどいい楽次郎氏監修の「おふざけキャンプ」さえも見れない。
落ち着かないうえにあまりに暇なので焚き火をしようかと考えたが、今日はしないと決めた事をいきなり曲げるのもイヤなので、とりあえず音楽を聴きながらビールでも飲むことにした。

この時分かったのだが、チェアに座ってギリギリ歌詞が聴きとれる音量にしても、3、40メートルくらい離れた場所では何か「シャカシャカ」と音が聴こえるのだ。
静かなキャンプ場では案外遠くまで音が伝わっているんだなと気付かされ、拾った木の枝で足元に
「モ ・ ラ ・ ル」
と書いたところで早めの晩御飯に取り掛かる。
(ちなみにこのとき、モとラとルの間の点も書いている)
炭焼きしてあるせせり肉と、具がたっぷりの冷凍ピラフを調理。
ビールでほどよくウトウトしていて、時計を見るとまだ7時。
スゲェヒマなので、ライトアップされているもみの木を見に行くことにした。
ライトアップされたもみの木を見て・・・
園長さんが
「来た人にはぜいたくに過ごしてもらいたいから」
と、たった一人のキャンパーのために夜の間ずっとライトアップしておいてくれるのだ。
ありがたいことだ。
ライトアップされたもみの木は迫力を増していた。

樹齢およそ500年だそうだ。
500年前からここにあるのか~、と考えると感慨深いものがあった。
500年前というと、祖父の代でも曾祖父の代でもなく、高祖父の代でもなく、高祖父の父でも祖父の代でもないなあ。
・・・もしかしたら高祖父の高祖父の高祖父の祖父くらいにはなるかもしれないなあ。
と考えるとすごくスッキリした気分になったが、なぜだかデジャブ感がぬぐえなかった。
唯一スマホのネット回線がつながる受付小屋から、ヨメあてに生存確認のための連絡をしてテントに戻る。
まだ、8時。

持ってきていたビール3本もすでに飲み干し、焚き火もしないし、空も曇っているのでカメラで星を撮ることもない。
やることもないので「おふざけキャンプ(ドイツ語版)」でも見ようと思うが、何度試してもスマホ圏外。
見れないからといってどうということもないが、やはりこういうときは、本を持ってくるべきだったな、と思った。
こういった場合、おっさんはスマホをチマチマと見るのではなく、チェアに深々と腰を下ろし、ビールを片手に文庫本を読む、というのが正しい中年男性の姿なのだ。
できればひじ掛けのあるチェアで、本を持つほうの手はひじ掛けに載せてやや直角に構えるのがよい。
さらにビールではなく、ウイスキーを入れたフラスコ片手に本を読んでいれば、よりダンディーさが際立つに違いない。
しかし、目下のところ本はないので、あきらめて寝ることにした。
あ、子供のためにAmazonプライムでダウンロードしたドラえもんがある。
これならネットに繋がらなくても見られるぞ。
と気付いて、テントでおっさんがドラえもん3話ほど見たところでいつの間にか寝落ちしていた。
ダンディーとは程遠い。
翌朝
翌朝。
5時過ぎに目が覚める。
尿意で。

トイレから戻るとお腹がすいたので、ヤマザキのコッペパンをホットサンドでオシャレにいただき撤収にかかる。

まだ7時前ではあったが、雨予報なので片付けるだけ片付けてしまおうと判断した。
案の定、片付け終えた途端に雨が降り始めるのだから、我ながら危機察知能力の高さに驚くばかりだ。
いや、もしかしたら高祖父の高祖父の高祖父の祖父(たぶんゴリラ顔)が見守っていてくれるおかげかも知れない。
そう考えると感謝の念が湧いて来たので、もみの木のある方向を見て、
「あ・り・が・と・う」
と呟いた。
(ちなみにこのとき、あとりとがとととうの間の点も読んで、「あてんりてんがてんとてんう」とは言っていない)
帰り道。
キャンプ場から離れ集落が見え始めるとようやくスマホのネット回線がつながったが、あれほど読みたくても読めなかった「おふざけキャンプ」も、もう暇じゃなくなったし、まあ、見なくていいかなと思いながら家路についた。
おわり。
今回利用させていただいたキャンプ場

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