
キャンプとは野外で一時的な生活をすること。
現在ではキャンピングと言うと、その多くがテントや即席の小屋状構造物での滞在を指すことが多いが、実際には特に限定はなく、・・・・・広義には、ともかく野(野外、屋外)で一時的に生活すること全般を指す
Wikipedia
遅すぎた出発
金曜日の午後7時。
仕事を5時過ぎに終えコタツの中で眠っていた。
この日ヨメさんからはキャンプの許可を得ていたものの、ひどくなってきた花粉症で目がかゆく、少しでも目を閉じていたいと思っていたらいつの間にかもう7時前になっていた。
隣の部屋からは夕食で注文した出前のラーメンを食べる家族の笑い声が聞こえてきた。
キャンプに行くことになっているので当然ワタシのラーメンはなく、お腹を空かせたままとりあえずあてもなく出発することにした。
どこかのキャンプ場を予約していたわけでもない。
この時間から出発しても、暗闇の中でテントを張って軽く夕食を作って寝て終わり、というキャンプになりかねない。(だいたいいつもそうだけど)
しかし、キャンプに行くと言った以上、出かけることはもはや義務であった。
あてもなく車を走らせ無意識のうちにどこかに駐車をし、
気が付くとワタシの目の前には一杯のラーメンが置かれていた。

本当はキャンプ場で調理をして食べる予定だったが、目の前になぜかラーメンがあるので食べるほかないだろう。
不本意ながら「こってり、麺多め」のラーメンをすすりながら、なんとなく海辺のキャンプ場へ行こうと思った。
こんな日は海を見よう、と思った。(どんな日)
海辺のキャンプ場へ
車で走ること数十分。
夜のドライブでたどり着いたのは「大浦崎公園キャンプ場」
金曜日の夜なので5張り程度のソロテントしか見当たらない。
そして、すでに夜10時過ぎとなっていたため話し声もなくシーンと静まりかえっている。
チェックイン時間も当然終わっていて、テントを張ることなど不可能だ。
今更どこのキャンプ場に行ったってチェックインできる場所などないのだチックショー。
そう思いながら足元の石を拾い、海に向かって何度も投げつけた。
海岸沿いの道路にはいかにもカップルが乗っている雰囲気のある車が2台とまっていた。
夜中の10時過ぎにオジサンが海に向かって石を投げているというシュールな光景をカップルたちはどう思って見ていたのだろうか。

とりあえず海を見ようと思って来たので、一応目的は果たされた。
しかしキャンプはできそうにない。
ちょうど35個目の石を投げ終えた瞬間、ふと、海は見たから次は山に行こうと思い立った。
もしかしたら山に行けば、思いがけずステキなスペースがあったりしてキャンプができるかもしれない。
あてもなく山へ
音戸大橋の写真を撮ったりしながら、ナビで近くの山を検索して向かった。


移動しているうちに日付が変わり、気が付くとどこかの展望台前の駐車場にいた。
もうテントを張る元気もなく、そもそもテントを持ってきてもいなかったので車のシートに寝袋を敷いて車中泊をすることにした。(確信犯)
果たしてこれもキャンプと言えるのだろうかという疑問が湧いてきて眠れなくなったので、Wikipediaでキャンプの定義を調べると冒頭の説明のとおりであった。
これも立派なキャンプなんだ、という安心感に包まれ0時半過ぎに眠りについた。
真夜中の訪問者
深い眠りについていた真夜中の3時頃。
一台の車が隣に止まった。
展望台 x 夜のドライブ = カップルかと思ったがどうやら男性一人のようだ。
オイオイ、こんな時間に・・・、スットンキョウな野郎だなと思いつつ寝袋に隠れるように身を潜めていたが、あまりにガサガサと物音がうるさくルームランプが煌々と明るいので注意することにした。
外に出てスットンキョウに声をかけようとした次の瞬間、

あれ?YAMAさん?
とスットンキョウが口を開いた。(画像イメージはカニバブラー)
こんな真夜中のしかもこんな山奥でワタシのことを知っている男性が目の前にいる、というホラーな状況に困惑したが、どうも見たことがある気もする。
男性はカメラを片手に持っている。
星を撮りに来たようだ。

わざわざ夜中に星を撮るために山奥に来るなんて物好きだな
そして、男性は頼んでもいないのに目の前にある「かぶと岩展望台」を案内してくれたかと思うと、もうひとつの「星降る展望台」という場所へ連れて行ってくれるという。
下手に断るとカメラの三脚でつついてくるかも知れないと思うと恐怖で体が硬直した。
男性の車の助手席に乗り、シートベルトをしていないことに怒られながら数分ほどで「星降る展望台」へ到着した。
たいして星空に興味もなかったが、なんとなくカメラを空に向けてシャッターを切ると天の川が写っていた。
それを男性に教えると、男性は

え?!!どっちですか?
ととても興奮しシャッターを押し始めた。
途中、三脚を倒してカメラを地面に落とした男性はカメラに傷がついていないかを心配しながらも、新しいカメラが来週届くらしく、「古いカメラでよかった、これが新しいカメラだったらショックだった」と言いながら気持ちを切り替えて星空を撮影し続けていた。

清々しい朝
写真を撮っていると2時間ほどがあっという間に過ぎ、ひとおとり撮影して満足したのか男性は去っていった。
男性のおかげでそれなりに楽しい時間を過ごした一方で、寝不足気味ではあったがそのまま日の出を待つことにして展望台からの景色を眺めていた。

せっかくのキャンプの朝なので、
誰がなんと言おうとWikipedia的には立派なキャンプの朝なので、
コーヒーを飲みながら日の出を見ることにした。

ついでによりキャンプ感を出すため、ガスバーナーでお湯を沸かしインスタントうどんを食べた。
これがキャンプでなくて一体なんだと言うのだろう。
異論はないはずだ。
やがて現れた日の出はとてもキレイで、

今回も色々あったけどいいキャンプだったなと満足して家路についた。
おわり。
あの男性は名乗りもしなかったし暗くて顔もよく見えなかったが、もしかして話した内容や雰囲気から「えびかにさん」だったのではないかと思うのだがまったく確信はもてない。
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