
あいにくの雨キャンプとなり少々ガッカリしていた男が、真夜中に見た空から降ってくる白くて冷たいモノの正体とは!?
(出オチ)
到着から雨が降り出して
シトシト降る雨に設営を中断し、車の中からタープを眺めていた。

楽しみにしていた我が家(っていうかソロだけど)恒例の金曜日キャンプのお時間だ。
仕事を12時キッカリにスッパリ終えてキャンプ場へ向かうつもりが、こんな日に限って13時半までバタバタ仕事となり、キャンプ場に着いたのは16時前であった。
久しぶりの小板まきばの里。
去年は最もよく行ったキャンプ場だったが、今年は発熱で当日キャンセルしたりラジバンダリして、

いつの間にか1年が経とうとしており、今年初めてお会いした管理人のお二人への挨拶は12月にして
「明けましておめでとうございます」
だった。
忘れられる事なく覚えてもらえていたので安心しつつ、小雨になったところで設営を続行。
立てていたタープから落ちたしずくで水たまりができてしまい、地面のコンディションは決して良好とは言えない。

Amazonセールで突如思い付きで購入した新幕のソロテントを張る、という日に限って雨とはついていない。
ヨメサンに内緒で買ったのでバチが当たったのだろうか・・・。
設営を終えるともう17時を回っていた。
12月の17時はもうほとんど夜だ。
昼間からのんびり過ごすつもりが、雨雲のせいもあってもう暗くなっていた。
管理人さん曰く、雨は夜中まで続くようだったので焚き火はあきらめて、タープ下でとりあえずのおでんを温めることにした。

テントをタープ下に入れたため、今夜の生活スペースはほとんどなく、チェアに座れば右肩がギリギリ濡れそうになる。

この日は新月イブだったので、星空を狙ってのキャンプだったが、これはかなりオモテタントチガウ状況だ。

星空もなし。
焚き火もなし。
ただただ雨で右肩が濡れていないかどうかを気にしながら、オッサンがおでんを食べてビールを飲んでいるだけ。
「雨音を聴きながら過ごすのもキャンプのうちさ・・・」
と自らに言い聞かせるも、そんなもの5分もすれば飽きてしまい、おでんを食べ終わるともうやることがない。
テントに入ってダラダラと過ごす。
Amazonプライムで雪中遭難物の映画を見ながらお菓子をツマミ、ビールを飲む。

歯磨きと下半身からの水まきを終えて再びテントに戻り、映画の続きを見る。
リズミカルな雨の音はやがてテントに当たるボタボタという音に変わっていたが、木から落ちる雨だろうと気にもせず、いつの間にか寝落ちしていた・・・。
真夜中の声
夜中2時。
なにやら雨音にまじって、人の話し声が聞こえる。
まさか幻聴か?
と思って耳を澄ませていると、やっぱり女性の声が…。
まさか…、霊的な何かだろうか。
テントにあたるボタボタという音にも違和感を感じ始めた。
タープの下にテントを張っているのだから、テント自体には直接雨があたる事はないのだ。
なぜ、テントからボタボタという音がするんだろうか。
これはタープから雨漏りでもしているのでは、と思い意を決して外に出ようとする。
が、入り口のジッパーに手をかけた瞬間やけにテントが重いことに気付いた。
いよいよこれは何か霊的なものに押さえられているのではないかと思い、テントを内側から「エイ!」と叩くと、ガサガサガサガサと白い物体がテントに沿って落ちてきた…。
!?
白くて霊的なモノ!?
オバケのQ太郎かおふざけ楽次郎かと思ったが。。。
いや、雪だ!
雪でテントが押さえられている。
バシバシとテントを叩いて内側から雪を落とすも何故かまだ重い。
映画で見た雪中遭難物が、まさか自分の身に起こったのではないか!?という恐怖感に襲われる(大げさ)
なにが何だか分からずジッパーを開けて、ようやく状況が理解できた。


タープが倒壊してテントを包んでいた。
タープにあたる雪のボタボタという音が、そのままテントに落ちたように聞こえていたのはこのためだった。
そして聞こえていた女性の声は、この日、離れた場所にテントを張っていたおばちゃん三人組。
おばちゃんたちもこの雪に驚いて飛び起きたようだ。
霊的な何かではなく、ホッと胸をなでおろした。
その後、真夜中のタープ修復作業を終え、何とか安心して寝られる状態になった。


このあとも雪は続いたものの、鋭角にタープを張り直したため雪がタープに積もることはなく、朝まで安心オヤスミマンだった。
雪は人の心を澄み渡らせる
まだ薄暗い夜明け前。
女性のにぎやかな話し声が聞こえて目が覚めた。

おばちゃんたちはかなりテンションがあがっているようだ。
せっかくの雪中キャンプになったので、こちらも起きて写真を撮って歩いた。

ブラブラ周辺を散歩していると初雪を撮りに来た管理人さんに出会った。
管理人さんが手に持っていたのがまさに今自分が欲しいカメラだったので、色々とカメラの話をしてもらった。
「これは最高。写真を撮るならコレ」
という言葉にすぐにでもポチりたくなったが、さすがに金額が金額なのでテントのようにヨメサンにバレずに買うのは至難の業である。
テントに戻って少し二度寝する。

普段であればとにかく早く帰宅しないとヨメサンに怒られるのだが、ノーマルタイヤで雪の中にいることを伝えると、道路の雪が溶けるまでゆっくりしていいという。
その優しさに、頬を流れた涙は氷の結晶となった。
ウソだと思うかも知れないが、本当に氷の結晶になったのだ。(ウソ)

ゴロゴロしながらテントの中から覗く外の世界は、ワタクシの心のように澄み切っていた。
ほんの一瞬でもバレずにカメラを買おうと思った己の心を恥じて、レンズくらいはバレずに買えないだろうかと思い直した。

朝はまたもおでんを温め、うどんをぶち込むだけのものだったが、それはどんな高級レストランで食べるおでんにうどんをぶち込んだだけのものよりも美味しく感じた。
シアワセってなんだろう・・・。
そう呟くと、一筋の鼻水がまっすぐに地面に突き刺さった。
ウソだと思うかも知れ◎△¥●&?#$!・・(ウソ)

到着時は雨でオモテタントチガウ残念キャンプ確定かと思ったが、雪のおかげで素敵な時間を過ごすことができた。
雪中キャンプが楽しめたうえに、道路はノーマルタイヤでも問題なく帰れるという絶妙な降り方をしたのは、紛れもなく日頃の行いのたまものである。(ちびまるこちゃんのナレーション風に)
おわり。
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